主要放送局54局の放送分数から、
2013~17年のオールインワンジェル市場の成長過程を振り返ってみた
化粧品カテゴリー内におけるシェアは?
商品数は横ばいになっている(表1)にも関わらず、放送時間軸で見てみると化粧品カテゴリー内におけるオールインワンジェルのシェア増加している(表2)。つまり、各化粧品販売事業者がオールインワンジェルを主力商品と捕らえ、そこに注力して媒体投下しているということが伺える。2017年はシェアこそマイナス3.7ポイントとなっているが、放送時間は1万分以上増えている。
その理由として2017年はクッションファンデーションが大躍進しており、エバーライフの“艶肌美人クッションコンパクト”が2万5,000時間増、前年比440%増。銀座ステファニー化粧品の“クッションファンデーション”は1万9,000時間増、前年比3万2,000%増。この2商品に大型出稿により、オールインワンジェルの化粧品カテゴリー内シェアは下がってはいるが、出稿量は堅調に推移している。
表1
表2
上位6社の投下量推移は?
新日本製薬のパーフェクトワンモイスチャージェル/薬用ホワイトニングジェルが驚異的な放送時間伸びを記録し(表3)、業界のリーダーとなっている。以下、キューサイのコラリッチEX・メディプラスのメディプラスゲル・スイスセルラボジャパンのエステファクト・オージオのローヤルゼリーもっちりジェル・ドクターシーラボのエンリッチリフトEX等が続く。
どのブランドも5年間順調に推移し通信販売市場でのオールインワンジェルカテゴリー拡大に大きく寄与している。さらに、ハニーマスタード独自の指標で放送枠の価値付けを行い(DRTV-POINT)、その合計の年別推移を見てみると(表4)、新日本製薬が2位のキューサイに対して、放送時間比では3.03倍なのに対し、価値比(推計出稿金額比)2.06倍となる。
表3
表4
そこで新日本製薬が2013年から2017年にどの時間帯の投下量を増やしているのか(表5-1)を見てみると、深夜から早朝の時間帯に圧倒的に放送枠を増やしていることがわかる。また、どのエリアの投下量を増やしているか(表5-2)を見てみると関東のU局に圧倒的に放送枠を増やしていることがわかる。つまり、価値が低い(=推計枠料金が安価な)放送枠の活動を大幅に増やしていることがわかる。
表5-1
表5-2
どのような売り場で展開しているのか?
表6は時間帯別のオールインワンジェルの放送時間を通販枠全体放送時間で割ったグラフだ。これを見ると、お食事時間及びお食事の準備をしている時間帯により多くのインフォマーシャルが流れていることがわかる。50歳以上の女性をターゲットとした商品なので、女性の生活スタイルに適合した売り場(時間帯)で効率的に販売活動をしていることが伺える。
表6
どのような特典で展開しているのか?
上位6社の主力商品の主なオファーをチェックしてみた(表7)。初回でも3,000円以上の値付けに設定し、プレゼントをつける(モノであったり、同商品をプラスアルファーしたり)ことで、購買を促す戦略をとっているようだ。健康食品の初回オファーが1,000円以下や無料で展開している事業主が多いのに対し、化粧品は比較的初回単価が高いことが特徴となっている。
表7