主要放送局54局の放送分数から、2013~18年上期の育毛剤市場を振り返る

育毛剤カテゴリー放送分数は?

テレビ通販市場の中でコンプレックスカテゴリーが相当量の放送枠を投下していることはテレビ視聴者なら誰しも感じるところであろう。その中でも“育毛剤”に焦点を当て、具体的に「出稿量データ」及び「訴求内容」から市場の変化を掘り下げていく。
毎年のように出稿量ナンバーワン事業社が入れ替わり(※表1)、まさに業界は群雄割拠の様相を呈している。

表1 (注)2018年のみ1~4月の4ヶ月集計

『薬用』というキーワード

各社に共通する項目として“薬用”というキーワードが浮かび上がる。薬用とは『医薬部外品』のことであり、『医薬部外品』とは医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に定められているのだが、要は“厚生労働省が指定する成分が入っていないとダメですよ”ということだ。各社の有効成分(=厚生労働省が指定する成分)は、ほぼ似たり寄ったりで差別化が難しい。(※表2)
そんな中、各社はどうやって差別化を図り、視聴者に訴求をしているのだろうか。

表2

愛しとーと リプレアEX】

多数の愛用者を取材し、使用前の頭皮の状況をファイバースコープで映像化。徹底した恐怖訴求(毛根に油が詰まり、頭皮が硬くなっている状況)から改善した頭皮の映像をふんだんに使い、専門家の解説を交える。有効成分を5種類使用していること、その1つ「タマサキツヅラ」が希少である点を訴求。

マイケア 花蘭咲】

主力成分である「エビネ蘭抽出エキス」に活血作用があり、古来から薬として使われてきた事や、毛母細胞に血液を巡らせる事の重要性を大学教授を起用して説明。さらに生産者を起用して希少性(絶滅器具類)や自然由来であることを訴求。

ルチア ノヴェルモイ】

シャンプー・コンディショナー&育毛剤のセット販売で髪の毛全ての悩みを解決できるような演出。オファーは高めの設定(約4万円)で高級感を売り出している。

小林製薬 アロエ育毛剤】

知名度の高い「コバヤク」ブランドを前面に押し出す。商品名のアロエの保湿力を特に強調し、愛用してる人としてない人を並べて感想を聞いたり、年齢差のある人を並べてケアし続ければ将来こうなるという実物を見せている。オファーはミニボトルで安価に設定。

サントリーウェルネス フローリッチ】

芸能人が多数出演し、基礎化粧品・美容ドリンクと同時に紹介し、高級感を醸成している。「髪に塗る化粧品」として、機能性よりもイメージを重視している。

富士産業 リリージュ】

番組スタッフが研究所や愛用者宅へ訪問するドキュメンタリー型を採用し、愛用者⇒その紹介者⇒さらのその友達…という様に口コミ感をテレビ画面上で表現。

商品差別化しにくいカテゴリーにもかかわらず、メディアプランニングだけでなく、その訴求内容も各社の工夫が伺える。